精密根管治療で
自分の歯で嚙める喜びを守る THE JOY OF SWALLOWING
むし歯菌が神経や血管などの複合体である歯髄に感染した場合に行われるのが、歯髄を取り除く根管治療です。日本の保険診療において根管治療の成功率はあまり高くなく、治療期間が長引いたり、神経を抜いたのに痛みが続いたりといったトラブルが起こっています。保険診療で扱える器具や薬剤には限りがあるため、根管治療を短期間で終わらせることや、再発スパンを引き延ばすことはほぼ不可能です。
当院の院長は、歯の寿命をなるべく長く保つためには根管治療の成功が大きなポイントだと考え、3年以上の時間を費やして歯内療法と根管治療について学んでまいりました。 自由診療の精密根管治療によって再発リスクを可能な限り抑え、将来も自分の歯で食事を味わうことができるように、お手伝いをしたいと考えております。
根管治療が必要な症状 CHECK!
- むし歯が大きい
- 歯茎が腫れて痛む
- 歯がずきずきと痛む
- 歯を噛み合わせると痛い
- 冷たいものや熱いものがしみる
- 歯が痛かったのに何も感じなくなった
根管治療の手順 FLOW
むし歯の除去
まずはレントゲンや歯科用CTを用いた精密検査によって感染状態、歯の根や根管の形状を把握して、診断を行います。歯の寿命をなるべく長く維持するためには、健康な歯を多く残すことが大切です。診断結果をもとに歯科用拡大鏡やマイクロスコープを用いて、丁寧にむし歯部分を切削します。
なお、歯茎より上に出ている歯が少ない場合には、唾液の侵入を防ぐラバーダムを装着できません。その場合、コンポジットレジンやセメントなどで人口の歯を作って高さを出すことで、ラバーダムの装着ができるようになります。歯髄の除去・
根管の形成と清掃ラバーダム防湿を行った後、ファイル(あるいはリーマー)と呼ばれる針状の器具を用いて、歯髄と根管内にある感染物質の除去を行います。根管は細かく複雑な形状のため、ファイルで歯質を削ることで拡大して、薬剤を行き渡りやすい状態に整えます。その際、汚れの取り残しをせず、削りすぎて内部を損傷させないことが、根管治療後のトラブル防止に繋がります。
当院では保険診療で用いられるステンレス製のファイルではなく、ニッケルチタン製のファイルを採用しています。ニッケルチタンはしなやかで弾力があるため、複雑な根管の形に沿って曲がることで、しっかりと汚れを取り除くことが可能です。 また、電動式のファイルを採用しており、手動よりもスピーディーかつ効率的に処置を行っています。根管の殺菌・洗浄
ファイルで削った感染物質や歯質のカスを残さないために、薬剤で根管内を洗浄します。この時に細菌が残ってしまうと、治療後にむし歯が再発してしまうからです。
自由診療においては、削りカスを溶かす(EDTA)と細菌や残った神経を溶かす(次亜塩素酸)の2種類の薬液を用いることで、根管内を無菌状態にしています。なお、保険診療では次亜塩素酸のみを使用いたします。根管内の充填
根管内が清潔であることを確認できた段階で、殺菌作用のある歯科用セメントを詰めていきます。根管の内部に空間を作ってしまうと、細菌の繁殖を招きます。また、歯髄を失って脆くなった歯を補強し、割れにくい状態に整えることにも繋がります。
装着した被せ物を壊し、歯の内部に詰めた歯科用セメントを削る工程を繰り返すと、コストがかさむだけでなく、歯もどんどん脆くなってしまいます。できる限り1回で根管治療を終えるためにも、歯科用セメントを歯の根の先端まで緊密に詰めることが大切です。根管の密封・土台の形成
根管内に詰めたセメントが硬化して、封鎖できていることを確認できた段階で、被せ物を装着するための土台を作ります。
根管治療を必要とする状況では、歯の大部分を失っていることから、被せ物を長く機能させることができません。そのため、コアと呼ばれる素材を用いて土台を形成することにより、被せ物を隙間なくしっかりと固定することが可能です。
なお、当院では歯に近いしなやかさがあるファイパーポストコアを土台に選ぶことで、神経を失って割れやすくなった歯根の長期的な維持を目指しています。治療部分の型取り
被せ物を作るために、土台部分の型取りを行います。むし歯の再発を防ぐためには、被せ物と土台の間に隙間を作らないことが重要です。
しかし、保険診療で使用される印象材は、温度や湿度の管理によって変形するリスクがあり、隙間ができやすいのが問題です。それに対して自由診療では、変形を起こしにくいシリコン素材の印象を用いられることから、隙間なく被せ物を接着できるというメリットがあります。被せ物の装着
作製した被せ物を土台にしっかりと接着して、根管治療は終了です。なお、根管治療後の歯の根を長く使い続けるためには、その方のお口の状態合った素材を選ぶことが大切です。健康な状態を少しでも長く維持するために、治療をした歯の位置や患者さんの咬合力を考慮した素材をご案内させていただいております。
根管治療を成功させるために必要なこと
マイクロスコープによる
精密治療根管はとても狭くて暗いため、内部を肉眼で見ることはできません。しかし、感染した歯髄や歯質を取り残さないためには、目で見て確認する必要があります。そこで当院では、視野を拡大するマイクロスコープ(歯科用顕微鏡)を用いて、根管の内部を視認しながら治療を行っています。
特にマイクロスコープにおいては、肉眼の30倍まで視野を拡大することが可能です。根管の内部に残された感染組織だけでなく、歯の表面にできた細かいヒビを見落とすことを防ぎ、再発リスクの少ない精密治療が行なえます。ラバーダム防湿
根管内にほんの少しでも唾液が入り込んでしまうと、被せ物の下でむし歯は再発してしまいます。当院では、治療をする歯の周りにゴムのシートを張ることで、唾液の侵入を防ぐラバーダム防湿法を採用しています。
ラバーダムを装着している時には、患者さんにうがいをしていただけません。長い時間はかけられませんので、電動ファイルを使うなどの工夫によって、なるべくスピーディーに処置を進める努力をしています。
歯髄や歯を残す治療を
心がけています TREATMENT
歯髄は神経・血管・リンパ管などが組み合わさった部分で、歯に栄養を届ける、噛んだ際の刺激を感知する、初期むし歯の進行を抑えるなど、様々な機能があります。たとえ治療のためとはいえ、歯髄を抜くことで発生するデメリットは数え切れません。当院では、できる限り歯髄を残し、生きた歯を維持する努力をしています。
難治性の歯の治療
何度も根管治療を受けているのに、なかなか治療を終えられないという方はいらっしゃいませんか?当院では根管治療・歯内療法を専門的に学んできた院長が、難治性の歯に対して自由診療の精密治療を行っております。マイクロスコープを用いた精密な処置と、ラバーダム防湿による歯内を無菌状態にした治療により、できる限り長く歯を残せるように努めています。
神経に近いむし歯
むし歯がまだ歯髄に達していない場合、当院では生活歯髄療法によって、歯髄を守る選択をしています。根管治療のように歯髄を抜かず、むし歯菌によって弱った神経の一部分だけを切除して、薬剤やプラスチックで保護をします。その後、経過観察で痛みがでなければ、補綴治療で歯を再建できます。
破折
転んで顔を打った、思い切り口元をぶつけたといった理由で、歯の一部分、あるいは骨の一部が欠けた状態です。破折後はすぐにご来院いただければ、歯と骨を癒着させたり、歯根の脱落を防げたりといった可能性が高くなります。
脱臼
歯に強い衝撃を植えて、歯と歯槽骨とをつなぎ合わせている歯根膜が断裂した状態です。歯がぐらぐらする、歯が伸びたように見えるなどの症状が現れます。歯根膜の炎症を起こして歯が脱落する危険はありますが、早期の処置によって防ぐことが可能です。
脱落
何らかの理由で歯が歯槽骨から抜け落ちてしまった状態です。元通りの位置に歯を戻せるか同課は、歯根や歯槽骨の状態、抜けてからの時間、歯が乾燥していないかなど、様々な要因が関わります。歯が脱落した際にはすぐに歯科医院へ連絡してください。なお、抜けた歯はもとの場所に戻すか、専用の保存液に浸けてご来院いただくのが望ましい保存方法です。それらが不可能な時には、生理食塩水か牛乳の中に歯を入れてお持ちください。
治療後は定期メンテナンスを
受けましょう
根管治療で歯髄を抜いてしまった歯は、水分を失った枯れ木のようにちょっとした力で割れやすくなっています。また、被せ物の素材によっては被せ物と歯の間に隙間ができて、むし歯が再発する可能性もあります。
そういったトラブルを防ぐために大切なのが、歯科医院での定期的なメンテナンスです。むし歯や歯周病の兆候がみられないか、歯の表面にヒビが入ったり、割れたりしていないか、噛み合わせがずれていないか、お口をきちんとケアできているかなどのチェックを受けて、トラブル防止に努めましょう。